伊賀は忍者発祥の地の一つである。伊賀流忍術はこの地の名を冠し、世界で「忍者」といえば必ず立ち返る原点だ。「Ninja Quest in Iga」は、この正統の血脈を、遊び心あふれる文化的冒険に仕立てた。ゲストは忍者装束に着替え、忍者となって町を駆け抜け、暗号を解き、一連の任務(クエスト)をこなす。立って演目を眺めるのではなく、本当に「一度、忍者になる」のだ。
その魅力は「本物」と「遊び」を絶妙に調和させた点にある。本物の側面——ここには本物の忍具や武器を展示する伊賀流忍者博物館があり、忍者屋敷の仕掛けがあり、手裏剣・刀・鎖鎌の実戦を演じる専門の演武団体がいる。土台は正真正銘の忍術文化だ。遊びの側面——着替え、謎解き、関門突破の設計が、チームを協働と笑いのなかへ引き込み、インセンティブの緊張をほぐすアイスブレイクやチームビルディングに自然と適する。旅程には地元の美食や温泉リゾートの宿泊も結べ、「忍者になる」を一つの体験から完結した旅へと広げられる。
企画を組む者にとって、伊賀忍者は「強い象徴 × 高い参加度 × 低い敷居」という稀な一枚である。忍者は世界で最も売れる日本のIPの一つであり、発祥の地で自ら関門を突破することは、テーマパークで忍者を「観る」よりもはるかに高級だ。ゲストが持ち帰るのは土産ではなく、「忍者の故郷で一度、忍者になった」物語である。趣向性と話題性を求める団体にとって、この気軽で忘れがたい臨場感は、まさに願ってもないものだ。