水前寺成趣園は、江戸初期に熊本藩細川家が造営した回遊式庭園である。二代藩主・細川忠利の手に始まり、数代を経て今の姿を成した。その魂は水にある。阿蘇の火山の伏流水がここに湧き、清らかな池を成す。「水都・熊本」の名は、この庭園において、足下に絶えず湧き続ける清泉として具象される。池を巡って歩めば、富士山を象った築山や、東海道五十三次を下敷きにした山水の景に出会う——この庭園は、歩いて入り込める、日本の風景を縮めた一幅の絵なのだ。
園内にはさらに出水神社が立ち、細川忠利と歴代藩主を祀る。ほかにも「古今伝授の間」という、和歌の伝統を宿す雅な空間がある。つまりここは単なる景色ではなく、細川家の歴史、神道の信仰、和歌の文化が共に浸み込んだ土地なのだ。開けた園内はレセプションを収め、文化の演目を組み込むこともできる——阿蘇の伏流水と富士の築山のあいだで、賓客に格調ある一時を過ごさせる。
企画にとって、水前寺の価値は「清雅」の二字にある。壮麗な演出を追わず、清泉と緑、和歌の伝統に包まれた静かな格調を差し出す。桜の季はとりわけ人気だ——池畔の桜とその映り込みは、熊本の一年で最も心を打つ景の一つである。「水都」の核心のイメージのなかで雅なもてなしを催しつつ、文化の奥行きも失いたくない客に適する。