昼の春日大社は、鹿と人波に包まれた朱塗りの世界遺産です。しかし、その真の姿は、参拝客が去り、灯りがともるころにあらわれます。三千基の石灯籠と釣灯籠が次々と点り、原始林の闇のなかに朱の回廊が浮かび上がる——その瞬間、俗世は門の外へと締め出されます。この体験がひらくのは、まさにこの「もう一つの春日」。賓客のためにしつらえた神楽・舞楽の奉納、皇室・藤原氏の由緒と結ばれた、この世から切り離された一夜です。
春日大社は768年に創建された、藤原氏一門の氏神社です。茨城・鹿島より武甕槌命を迎え、神山・御蓋山に鎮まります。建築様式「春日造」の極致として知られ、同じく世界遺産に列なる春日山原始林を背に負います。この原始林は、神域として伐採を禁じられてきたがゆえに、今日まで原生のまま保たれてきました。千年にわたり神楽と舞楽の奉納文化を守り継ぎ、その奉納を賓客のためにあつらえて供すること——それこそが、最も奥深い希少性です。
提案する側にとって、これは旅程全体を精神的な高みへと導く一枚です。もたらすのは賑わいではなく、静謐と神聖、そして神域に受け入れられたという重み。とりわけ、日本の精神文化にはじめて深く分け入るVIPにふさわしい体験です。賓客が灯籠に囲まれた社前にひとり坐し、巫女が奉ずる神楽を見つめるとき、「千年の神社に、その神聖な時間へと正式に迎え入れられた」という感覚が生まれます。それは金銭で直接購えるものではなく、引き合わせによってのみ到達しうる場所なのです。
注:奉納・特別参拝は非公開の手配であり、観光連盟等の仲介を通じた神社との調整を要します。灯籠の常燃は万灯籠などの特定の行事にあたり、平日夜間の点灯は別途の手配が必要です。