伊勢神宮は、日本人が二千年にわたり「心のふるさと」と呼び続けてきた場所です。正式名称はただ「神宮」。天照大神を祀る皇大神宮(内宮)と、豊受大神を祀る豊受大神宮(外宮)を中心に、14の別宮と109の摂社・末社・所管社、合わせて125の宮社からなる、日本神道の総本山。ここは「観光名所」という言葉が最も似合わない場所——訪れるのではなく、迎え入れられる場所だ。
この地の思想を一言で表すのが「常若(とこわか)」。20年ごとに社殿を隣の敷地にそっくり建て替え、神を新宮へ遷す——式年遷宮。8年以上をかけて社殿・神宝をすべて新調し、千年以上絶やさず繰り返してきた。古びゆくのではなく、常に若く新しくあり続ける。永遠を「変わらないこと」ではなく「絶えず新しく生まれ変わること」で実現する——この逆説こそ、伊勢志摩という土地の意味そのものであり、日本文化の核心の一つだ。
最上の体験は「御垣内参拝(特別参拝)」。一般参拝者より内側、玉垣の中に進み、正宮に最も近い位置で拝する正式参拝だ。スーツにネクタイ(女性は相応の正装)という正装が求められ、式年遷宮への奉納やお神楽の申込を通じて叶う——「賽銭を投げて願う」参拝とはまったく次元の異なる、神域の懐に招き入れられる体験である。
提案では、これは行程の「幕開け」を担う最重要の一枚。旅の冒頭でこの静謐と常若の思想に触れることが、その後の伊勢志摩滞在すべてに「意味の背骨」を通す。日本の精神文化の核に触れたい初訪日VIP、特別参拝を望む客型に、これ以上の入口はありません。