家プロジェクト(Art House Project)は、「展示を観る」ことを「生きた村に足を踏み入れる」ことへと反転させた。1998年に始まったこの試みは、新しい館を建てるのではなく、直島・本村地区の古民家、空き家、さらには一社の神社までをまるごと作家に委ねて改造する——実際に人が暮らす細い路地を歩き、一見ふつうの古い木戸を押し開けると、その内側は一件の現代アート作品なのだ。
一棟ごとが「村落の記憶」と「現代アート」との出会いである。宮島達男の《角屋》は、暗室の水面でLEDの数字を思い思いの速さで明滅させる——その速さは本村の住民が自らの手で設定したもので、時間はそこで体温を帯びる。杉本博司が再建した「護王神社」は、光学ガラスの階段で地上の社殿と地下の石室を一直線に結ぶ。安藤忠雄とジェームズ・タレルが協働した「南寺」では、完全な暗闇の中に数分間静座し、やがて目が、本来存在しないはずの光を少しずつ「見る」ようになる。これらの作品は白い壁に掛けられているのではなく、この村の時間の層に嵌め込まれている。
提案する者にとって、これは直島の物語にとって絶好の「開幕」となる。賓客を「観客」から「探索者」へと変え、現に人が生活する路地を歩きながら発見させ、土地の記憶と、時には行き合う住民とすら結びつける。仕えるのは好奇心の旺盛な、路地の散策と発見を好む客——とりわけ少人数の探索型行程によく合う。この「アートが生活の中に根を張っている」瑞々しさは、どんな美術館の閉じた展示室にも与えられない人情の温もりだ。