北アルプスの雪嶺を背に、漆黒の天守がいっそう凛と際立つ——松本城です。十六世紀末に築かれた現存最古の五重六階の木造天守で、国宝に指定されています。総漆黒の下見板壁をまとうことから「烏城(からすじょう)」と呼ばれてきました。多くの城が後世の再建であるのに対し、ここの天守は四百年前の本物。木の柱、急な階段、狭い狭間(さま)に至るまで戦国当時の姿をとどめ、一歩を踏むごとに、足もとには紛れもない歴史が横たわっています。
その真価は、「国宝を舞台とする」ことにあります。歴史ある庭園をレセプション会場として用い、漆黒の天守と北アルプスという二重の背景のもとで杯を交わす。城の見学にとどまらず、侍(武者)体験、弓術、和太鼓、そば打ちといった文化体験を組み合わせれば、一つの国宝の城が、日本の歴史と武家文化を立体的に体感する場へと姿を変えます。城のかたわらで催すのではなく、国宝そのものを舞台とする——その格式がここにはあります。
提案を組む立場からすれば、これは旅程に「国宝の印」を一枚で押せる切り札です。堀を隔てて遠望するのではなく、四百年の天守の庭園へ正式に迎え入れられ、烏城のもとで宴に臨み、自ら弓を引き、和太鼓の響きに身を委ね、武家の技に触れる。この「国宝の内に立つ」という佇まいと歴史の厚みは、再建された城郭や通常の宴会場では決して得られません。最高峰のMICE団体にとって、国宝を舞台とする正式さこそ、対価を惜しまない稀少性です。