OMO7横浜は二〇二六年四月の開業ながら、およそ七十年の記憶を宿す建物に住まいます——名匠・村野藤吾が設計した旧横浜市庁舎行政棟。この戦後モダニズムの傑作は、六十余年にわたり横浜市政を支えてきました。再開発にあたり議会棟と市民広間は取り壊されるなか、本館となる行政棟だけが保存され、星野リゾートの「レガシーホテル」として再生されたのです。新しいホテルに泊まるのではなく、横浜という都市の記憶のなかに住まう——それがここです。
その貴重さは、「名建築を生かし続ける」ことにあります。村野藤吾を象徴する大階段をはじめ、往時の意匠が余さず受け継がれ、二七六の客室が旧市庁舎の骨格のなかに息を吹き返しました。図書ラウンジとワークルームは滞在客の憩いの場であると同時に、小規模の会議や非公開の会合も受け止めます。関内駅前という都市立地は、港町・横浜の歴史への入口でもあり、赤レンガ倉庫、山下公園、中華街へと歩いて行けます。
提案を組む立場からすれば、これは「都市滞在×建築の物語」という一枚。画一的なビジネスホテルに泊まるのではなく、村野藤吾の名作に住まい、大階段のもとで写真に収まり、旧市庁舎のなかで小さな非公開会議を開く——滞在そのものを体験の主役にできます。建築を愛する人、そして「物語のある都市の拠点」を求める団体や個人にとって、都市の記憶と設計遺産に住まうこの独自性こそ、代えのきかない価値です。