セレネは、立山黒部アルペンルートと黒部峡谷の玄関口——宇奈月温泉に佇む。ただの会議施設ではない。中核をなすのは「黒部峡谷」を主題とする現代日本画を専門に収蔵する美術館で、平山郁夫をはじめとする名家がこの日本最深の峡谷のために描いた大作を常設する。つまり参加者は、名家の筆による峡谷のただなかで会議に臨むのである。
山岳MICEの拠点として、設備もまた確かだ。主ホールは約700名を収容し、6言語の同時通訳に対応、正式な国際会議やフォーラムを受け止めるに足る。そして真にこの地を代えがたいものにしているのは、「会議の外側にあるすべてが玄関先にある」ことだ。会場を出れば、深い黒部峡谷と百年の名湯・宇奈月温泉が広がる。黒部峡谷鉄道のトロッコに乗れば、絶壁と渓谷に沿って群山の奥へと分け入る。夜には峡谷の上空を彩る貸切花火まで組める。都心の会議室では決して得られないもの——真剣な議題と雄大な自然、名画、温泉、鉄道をひとつの行程に縫い合わせるのが、この地ならではの妙である。
提案の場では、「都市を離れ、自然へ入る」リトリートの一枚となる。経営陣が峡谷の絵画に囲まれたホールで議を交わし、会議のあとは百年の湯に浸かり、トロッコで紅葉を眺める——心身が自然によってリセットされ、議題はかえって実りを増す。この「会議 × 山岳自然 × 温泉 × 芸術」の重なりこそ、純粋な都市ホテルには決して生み出せない価値である。