静岡は日本屈指の茶どころ——全国最大級の茶産地の一つで、山あいに層をなす茶畑がこの土地の地色そのものである。Kakuyabessho(カクヤベッショ)が手がけるのは、この地の利を極限まで押し進めることだ。専属の茶師(ちゃし)が席に控え、会席の一皿ごとに、静岡各地の銘茶から一つを選んで合わせる。食後に一服の茶を供するのではない。日本茶を、洋食におけるワインのごとく一席を貫くもう一本の主線とし、一皿一茶、料理と茶が互いを引き立て合う。
その希少さは、「茶師」という役割に由来する。ソムリエが酒を知るように、茶師が知るのは、茶の産地・品種・火入れ・淹れる湯温が、料理の脂・旨み・季節にどう呼応するかである。旬の地場食材の一皿に、それをちょうど引き立てる静岡の銘茶を選び、席上でその一合わせの理由を語るとき、一食は「美味しい」から「解説され、設計された」鑑賞体験へと次元を上げる。空間も意図して小さく——最大約40名、カウンターはわずか8席。近い距離でこそ、茶師の手のひとつひとつの所作が見える。
提案の場では、「ノンアルコールの高級ペアリング」の切り札だ。飲まない/健康志向の高まるハイエンド客を満たしながら、日本ならではの文化の深みと話題を十分に与える——日本一の茶どころで、茶師が一皿一茶をあなたのために設計する一食。小規模のVIP晩餐や美食家の団体にとって、この専属性と希少性こそが記憶に残る勘所となる。