見せるための贅もあれば、世界を戸外に締め出し、ただ自らのためだけに取っておく贅もある。ふふ奈良は後者に属する。奈良公園の森の中に隠れ、全客室スイートの隠れ家として、滞在の間じゅう他の誰とも顔を合わせることなく過ごせる。相対するのは、吉野杉の木の香り、奈良の手仕事、そして自室の露天風呂だけだ。
設計は建築家・隈研吾の手による。吉野杉と奈良の在地の手仕事で空間を包み、「和」の質感を肌理のレベルまで作り込む。もっとも独自なのが「漢方薬草の湯」だ。奈良は古来、日本の東洋医学・製薬文化の発祥地のひとつ。ふふ奈良はその土地の記憶を、浸れる癒しへと昇華させた。薬草の香りに身をゆだねれば、身体はこの古都の養生の淵源とつながる。すべてのスイートに露天風呂が備わり、奈良公園の杜のなか、私湯こそが全世界となる。
提案者にとって、これは純粋な、締めくくりにふさわしい静養の終着点だ。団体には向かないが、カップルや記念の旅、そして究極のプライバシーとウェルネスを求めるVIPにとっての頂点となる。喧騒の行程がここに収束するとき、ゲストが得るのは、もう一つの名所ではない。森と薬草の湯にやさしく受けとめられた、徹底したくつろぎである。この「誰にも邪魔されない癒し」こそ、最ハイエンドの客が本当に稀少とするものだ。
注:全室スイート・私人露天風呂・漢方薬草の湯・隈研吾設計は公式口径による。開業年や運営体制の詳細は公式サイトに準拠し、価格は高単価帯につき案件ごとに照会(固定せず)。