六本木の中心に、波のようにうねるガラスの帳が屹立している——建築の巨匠・黒川紀章が東京に遺した絶筆の一つである。国立新美術館は常設のコレクションを持たない。それ自体が「起こること」のために生まれた建築だ。光が弧を描くガラスを抜けて白い空間を流れ、巨大な逆円錐の柱が吹き抜けの中庭を支え、人はその中で思わず歩みを緩め、天を仰ぐ。こうした空間にブランドや新製品の発表を置けば、賓客が記憶するのは製品だけではなく、「東京でもっとも劇的な現代建築のなかでもてなされた」その瞬間そのものとなる。
ここにある価値は、場の気韻の転化にある。同じ一つのレセプションでも、ホテルの宴会場に置けば「一つの催し」だが、この波打つガラスの下に置けば、それは一つの文化的事件となる。建築そのものがブランドの物語を語り、商業的な発表を、撮られ、語られ、記憶されるに値する現代の儀へと昇華させる。アジアの旗艦市場で高みを打ち立てたいブランドにとって、場所の選定こそが宣言なのだ。
ここは六本木のアート・トライアングルの核心に位置し、交通も設備も成熟している。四季を通じて機能し、数百人規模の盛大なレセプションを担うことも、建築の自然光のもとでより私的な報道関係者・貴賓向けの内覧を設えることもできる。「東京での一夜」を求める国際ブランドにとって、発表そのものに高みを添える舞台である。