京都の夏は、一柄の扇子の風から始まります。大西常商店は1913年に京都で創業して以来、「京扇子」——絵、紙、竹、そして礼儀を一柄に溶かし込むこの手わざを専らとし、今なお築150年の町家でその技を伝えています。格子戸を引けば、そこは一軒の店ではなく、いまも息づく京都の日常の内側です。坪庭から斜めに差す光、竹骨の清らかな香り、そして図を託されるのを待つ、一面また一面の扇。
ここでお客様がなさるのは「見学」ではなく「手を動かす」こと。町家のなかで、一柄の京扇子に自らの図を描き、店主から扇の扱いの作法を授かり、一碗の茶を添える——これは日本のもてなしの文化のなかでも、最も含蓄に富み、最も私的な一課です。扇は涼をとる道具にとどまらず、敬意、間合い、そして季節感の器なのです。大西常と百年の金箔屋との協業は、この手わざを、京都で最も洗練された光沢の層へと届かせます。
最高格のお客様への提案では、これを「扇子づくり体験」の一行で済ませるべきではありません。基礎の絵付けの一課は、一夜の私的な文化の宴へと昇華できます——町家をまるごと一つの家族や企業VIPに貸し切り、自らの手で描き、持ち帰れる一柄の扇を、京都の旅全体の情感の錨とする。お客様自らが参与し、なおかつ老舗百年の意を宿す、一つの信物として。