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カネサ鰹節商店(潮鰹・手火山式焙乾)
工芸 · 静岡県賀茂郡西伊豆町田子

カネサ鰹節商店(潮鰹・手火山式焙乾)

出典 www.instagram.comKanesa Katsuobushi (Shiokatsuo, Tebiyama-shiki Smoking)
なぜ記憶に残るのか

潮鰹は、鰹を丸ごと塩で漬け込み、冬の乾いた海風に当てて干し上げる保存食である。静岡県の公式の説明によれば、その歴史は千五百年以上、鰹節よりも古く、かつては田子から奈良の都へ献上されていた。田子ではこれが年神様の信仰と結びついており、正月には稲わら飾りとともに神棚に供えられる。かつては全国の漁村で作られていたが、いま作り続けているのは西伊豆町田子のこの一か所だけである。明治15年(1882年)創業のカネサ鰹節商店は、潮鰹づくりから稲わら飾りの結いまでを一貫して担う国内唯一の老舗で、現在は五代目の芹沢安久が継いでいる。同時にこの店は、最も古い焙乾法である「手火山式」を守り続けている。深さ二メートルほどの竪穴を掘り、その底で伊豆の楢・櫟・桜などの原木を焚き、直火の高温で鰹を燻し上げる —— この方法を今も用いる鰹節生産者は、全国にごくわずかしか残っていない。潮鰹の仕込みが始まるのは、空気が乾き始める11月上旬を待ってからである。