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截金 江里朋子
工芸 · 截金 · 京都

截金 江里朋子

出典 kirikane.net
なぜ記憶に残るのか

截金(きりかね)——金箔を髪の毛よりも細い線に截ち、一本ずつ貼り重ねて文様を描く技法は、仏教美術のなかで「光そのもので文字を綴る」ことにもっとも近い手仕事です。かつては仏像や経箱を荘厳するために用いられました。用いるのは絵具ではなく、金箔そのもの。ですから文様は描かれるのではなく、一本ずつ置き並べられていくのです。

江里朋子は1972年、仏師・江里康慧と、2002年に重要無形文化財「截金」保持者——いわゆる人間国宝——に認定された江里佐代子の長女として、京都に生まれました。2001年に夫の郷里である福岡へ移り、以後は京都と福岡の二か所で制作を続けています。2011年に日本工芸会新人賞、2013年に九州朝日放送賞、2020年に京都府文化奨励賞を受けました。

そして彼女の截金は、展示ケースのなかではなく、人が見上げる場所にあります。公式サイトが主な仕事として挙げるのは、三面の截金欄間です——2009年、石巻の邸宅の「季・明」。2010年、京都の四季の截金欄間。2011年、福岡の料亭・嵯峨野の鳳凰文截金欄間。欄間とは、日本家屋の鴨居の上に設けられた、光を通す一筋の横木のこと。一日のうちに光がめぐれば、金の線もまた順に輝きます。この技は、しまい込まれて終わるのではなく、暮らしのなかに置かれて生き続けるのです。

稀有なのは「招待制の扉がある」ことではありません。截金は国が指定する重要無形文化財であり、その保持者に認定される方は、一度にごくわずかです。江里佐代子の2002年の認定も、その一つでした。そして朋子は、その家に育ち、この手仕事を続けている人です。これは旅程に組み込める名所ではなく、いまも生きている一筋の系譜です。