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新宿御苑
観光スポット · 東京都新宿区

新宿御苑

出典 fng.or.jpShinjuku Gyoen
なぜ記憶に残るのか

ひとつの園のなかに、性格のまったく異なる三つの庭園が収まっています。

こちらの端から向こうの端まで歩くあいだに、足もとの決まりごとが三度入れ替わります。フランスの造園家が描いた一帯は整っています。線はまっすぐに引かれ、左右は対称で、視線は遠くへと導かれ、すべてがきちんと据えられています。歩いているうちに決まりごとがゆるみ、草の斜面が起伏し、樹は自分の姿のままに育っています——風景式の一帯に入ったのです。さらに奥へ行くと、道はもう遠くへ視線を送らず、目の前の数歩だけを見せます。角をひとつ曲がると、次の景色があらわれる——これが日本庭園の歩き方です。

ここはもともと、散策のための場所ではありませんでした。この土地ははじめ、徳川家康の家臣・内藤清成に与えられた大名屋敷でした。明治三十九年、皇室の庭園として誕生します。

ですから三種類の庭園が同じ土地の上に並んでいるのは、設計の迷いではありません。それはひとつの時代の思いです。明治がやろうとしたこと、なろうとした姿が、そのままひとつのかたちとして残され、誰の手も加えられないまま、そこに置かれています。あなたが歩いているのは公園ではありません。ひとつの時代のこちら側から、その向こう側まで歩いているのです。

園は広く、一周しようとは思わないほうがよいでしょう。入口をひとつ選び、ひとつの方向へ突っ切り、足もとの決まりごとが一度ずつ入れ替わっていくのに任せてください。もう一方の端から出るとき、気づくはずです。いま歩いてきたひと続きの道で、まったく異なる三つの美意識がそれぞれ自分をひと区間ずつ連れて行ってくれたこと、そして当時それらを並べて置いた人たちが、本気だったということに。