鴨川の西岸に、木造五層の楼閣が水辺に立つ。1927年に竣工し、1933年に増築されたこの建物は、2012年4月21日に国の登録有形文化財に登録された——擬古の模造ではなく、国に認定され、そのままの姿で守るべき本物である。かつて京都の名士がここで欄干に凭れて川を眺め、今日お客様が扉を押して入り、同じ木の階段を踏んで最上階に上れば、望むのはやはり同じ鴨川、同じ東山の稜線である。この建物のなかで、時間はほとんど動いていない。
もっとも劇的なのは、【一棟まるごとの貸し切り】ができることだ。その夜、この登録有形文化財の一棟はお客様一行だけのものとなる——隣席もなく、見知らぬ者の視線もなく、呼吸する歴史一棟が専属の舞台となる。そして卓に運ばれるのは、型どおりの懐石ではなく、京都の風土で読み替えたフレンチである。昭和初期の木造の和の骨格のなかに、ナイフとフォーク、ソースの西の魂が盛られる。この「京都の場 × フレンチの舌」の張力こそ、標準的なミシュランを見慣れた国際VIPのために用意された、意外性である。
今夜、国に守られた木造五層の楼閣が、鴨川に面したその眺めのすべてとともに、あなたたち一卓だけのために存在する。「専属感、物語性、発表できる場面の重み」を求めるブランドと企業のもてなしにとって、これは記憶され、語られ、記念帳に収められる一夜である。